FXでよくある失敗とは?

「FXでほとんどの人が挫折する」という話はよく耳にしますが、実際にはどの程度の人々が困難に直面しているのでしょうか。

データを確認すると、年度ごとの変動はあるものの、極端な偏りは目立ちません。一般的に「FXの9割は損を出している」と言われることもありますが、この情報からはそのような印象は受けられません。

しかし、それぞれの期間でかなりの口座が「減少」として表示されていることから、利益を得るのが難しいトレーダーも多いことが分かります。成功する人と失敗する人の差は一体何でしょうか?

FXにおける失敗は、特定のパターンが存在することが知られています。これらの問題点や解決策を理解することで、失敗を避け、FXでの成功の可能性を高めることができます。本記事では、FX初心者が陥りがちな失敗とその対応策を詳しく取り上げます。

FXでよくあるミス①:過度なレバレッジの使用

FXにおけるレバレッジ、つまり元本の最大25倍までの取引を許可する機能は、FXの特徴的な要点とされています。このレバレッジを駆使することで、限られた資金でも大きなリターンを期待することが可能となるのがFXの大きな魅力です。

しかしながら、レバレッジを過度に活用すると、わずかな価格の変動で大損をする危険性が増すため、高リスク・高リターンの状態になります。過大なレバレッジをかけての取引による大損は、一瞬で市場からの撤退を余儀なくされるリスクも持っています。

アドバイス:初心者は、控えめなレバレッジからスタートすることが重要

FXを始めたばかりの方は、高レバレッジでの取引は控えめにし、より安全な低レバレッジでの取引を推奨します。安全を確保するためには、十分な保証金を確保し、取引の量を制限することが効果的です。控えめなレバレッジでは利益は限定的になるかもしれませんが、初めは低リスクでFXの動きに慣れることを優先させることが賢明です。

FXでよくあるミス②:適切なタイミングでの損切りを怠る

FX取引初心者が陥りやすいミスの一つは、損失を最小化するための「損切り」を行わないことです。初心者は損失を認めることにためらいを感じ、損益がプラスになるのを待ってしまう傾向があります。

ただ、計画もなく含み損を持続することは、損失がさらに増大するリスクがあります。FXの経験者であっても損失を経験することは避けられません。実際、成功しているトレーダーは損失を早期に認め、適切なタイミングでの損切りによりリスクを管理しています。FXでの安定的な収益を目指すためには、損切りのタイミングを適切に判断することが不可欠です。

損切りはFXだけでなく、他の投資方法においても安定した利益を上げるための基本的なスキルと言えます。習得を怠らず努力しましょう。

アドバイス:ストップ注文を上手く使う

損切りを適切に実行するために、「ストップ注文」の活用が効果的です。この方法を用いると、事前に設定したレートに達した時点で自動的に取引が行われます。自分だけで注文を出すことに苦手意識を持つ人は、この機能を利用すると良いでしょう。ただし、市場の変動によっては、設定した価格とは異なる価格で取引が成立することもあるので、その点は十分に注意が必要です。

FXでよくあるミス③:感情に流された取引をすること

取引を行う際、事前に明確なルールを設定せず、感情に左右されて取引を進めることは避けるべきです。FXでの持続可能な収益を目指すためには、確固としたルールに基づいて取引を進めることが求められます。ルールの欠如は感情主導の不確実な取引をもたらし、一貫した収益を上げることが困難になります。特に、含み損が発生している状態では、定められたルールがないと、焦燥感に駆られ誤った判断を下すリスクが高まります。

アドバイス:ルールを設定し、自動的な取引を心掛ける

感情に左右されない取引を実現するため、FXではルールを明確に定め、それに基づき自動的に取引を行うことが推奨されます。例として、「利益が◯◯円に達した場合には確定させる」「特定のレートで損切りする」などのルールを前もって定めておくことで、衝動的な行動を回避し、失敗を最小限に留めることができます。

ルールサンプル①:最大損失は2%に制限する

「2%ルール」という基準は、証拠金に対して2%の損失が生じた場合に損切りを実施するというものです。仮に証拠金が100万円だとすると、2万円の損失で損切りが行われることになります。

10%と2%の損失での取引を継続した場合、10%のルールでは5回の連続損失で証拠金が半分になりますが、2%ルールを採用すれば、5回の連続損失でも90万円が残ることになります。これにより、トレーディングの継続が可能となります。

ルールサンプル②:移動平均線に基づくエントリー戦略

多くのトレーダーが取り入れるエントリー戦略の一つに、移動平均線を利用する方法があります。

25日移動平均線が75日移動平均線を下回るデッドクロスが発生した場合、価格の下落が予想されます。これを売りのタイミングと捉えることで、利益を上げるチャンスが増えます。

ルールサンプル③:移動平均線を利用した決済手法

取引を決済するタイミングも、移動平均線を参考にすることができます。売りポジションを持っている場合、ゴールデンクロスが現れた際に決済を行う。逆に、買いポジションの場合は、デッドクロスの際に決済を行うという方法です。

FXでよくあるミス④:頻繁に取引する「ポジポジ病」の罠

多くのFX初心者が陥る罠のひとつに、理由もなく取引を頻繁に行う「ポジポジ病」があります。この症状は、早く大きな利益を得るための焦燥感や、発生した損失を急いで取り戻そうとする感情から生まれるものです。しかし、無計画に取引を繰り返す行動は、成功の確率を低下させるばかりか、大きな損失を生むリスクも増加させてしまいます。

アドバイス:取引の根拠を明確に持つ

「ポジポジ病」から逃れるための方法として、取引の背景となる市場の動向やテクニカル分析の情報をしっかりと理解し、根拠を持って取引を行うことが重要です。以前述べた通り、取引のタイミングや方法に関する明確なルールを設定しておくことで、無駄な取引を避ける手助けとなります。市場の動向をきちんと分析し、計画的な取引を心掛けることで、FXでの成功を目指しましょう。

FXでよくあるミス⑤:直感や運だけに頼った取引

FX市場において、直感や単なる運だけで安定した利益を得るのは至難の技です。たとえ一時的に利益を上げることができたとしても、その結果を持続的に再現するのは非常に難しいです。安定して収益を得るためには、直感だけに頼らず、相場の動向を理解し、予測するスキルが必須となります。

アドバイス:分析技術の習得

市場の動きを100%予測するのは難しくとも、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析を利用して、その予測の正確さを向上させることはできます。

テクニカル分析は、過去の価格データを基に将来の動きを予想する方法であり、ファンダメンタルズ分析は、国の経済や政治の情報を基に市場の動きを分析する手法です。FX初心者にとって、テクニカル分析の基本を学ぶのは、比較的取り組みやすいと言えます。

ファンダメンタルズ分析は国際的な政治や経済の知識が求められるため、初心者には少し難易度が高めです。しかし、テクニカル分析の基本を身につけることで、初心者も効果的に市場を読み解くことが可能です。テクニカル分析をマスターしたら、次のステップとしてファンダメンタルズ分析にも取り組んでみるのが良いでしょう。

FXでよくあるミス⑥:計画性のないナンピンや両建ての採用

FXの戦略の中に、平均取得価格を下げるための「ナンピン」と、一つの通貨ペアでの同時買いと売り、すなわち「両建て」という手法が存在します。だが、初心者が十分な知識や計画を持たずにこれらの戦略を適用すると、利益を享受するどころか、大幅な損失の原因となることが多いです。特に両建ては、スプレッドによるコストが2倍になる等の問題が生じるため、一般的には推奨されません。

アドバイス:基本的な注文技法やチャートの分析法を習得する

FX初心者には、ナンピンや両建てのような高度な戦略を学ぶよりも、基本的な注文の仕方やチャートの分析方法をしっかりと理解し、実践することが先決です。まずは、FXの基礎からしっかりと学び、その上で実践を積み重ねることが重要です。

FXでよくあるミス⑦:明確な計画なしでのスワップポイント追求

FXトレードには、スワップポイントによって利益を生むアプローチも存在します。スワップポイントは、2つの国の金利の差異を指し、低金利通貨の売却と高金利通貨の購入を組み合わせることで、その差異に相当する金額をほぼ毎日受け取ることが可能です。

だが、為替が逆行すれば、スワップポイントでの収益を超える損失が生じることもあります。新興国の高金利通貨、例えばトルコリラやメキシコペソのようなものは、価格の変動が大きく、主要通貨に比べて価格が急激に動くことがしばしばです。リスクを十分に認識しないまま、単にスワップポイントの収益を求めてトレードすると、市場の動きによっては大きなマイナスとなる可能性も考えられます。

アドバイス:レバレッジを低く保つことを重視する

スワップポイントを目的として長期保有を検討する場合、控えめなレバレッジを用いることが推奨されます。

FXの特徴として、一定の損失を超えると、所持しているポジションが強制的にクローズされる「ロスカット」というルールがあります。高いレバレッジを利用すると、小さな価格の変動でもロスカットが実行されるリスクが高まります。ロスカットは、資産を保護するためのものですが、長期にわたってスワップポイントを累積したい場合、ロスカットによって計画が狂ってしまうこともあるでしょう。

価格変動によってロスカットされないよう、適切なレバレッジを用いることが必要です。十分なマージンを確保するか、トレードのボリュームを調整して、控えめなレバレッジを利用するよう努めましょう。

FXでよくあるミス⑧:複数の通貨ペアでの散発的な取引

FXトレードでは多くの通貨ペアの取引が可能です。初めの頃はさまざまな通貨ペアを試してみたいと感じるかもしれませんが、初心者には難易度が高いペアも存在します。さらに、多数の通貨ペアで同時に取引を行うことで、情報の整理やポジションの適切な管理が難しくなり、それがミスの原因となることも考えられます。従って、スタート時は取引しやすい1つの通貨ペアに焦点を当てることを勧めます。

アドバイス:FXの新参者は「米ドル/円」を選択

FXの入門者に最適な通貨ペアは米ドル/円です。米ドル/円は、日本のトレーダーにとって親しみやすい米国ドルと日本円の組み合わせで、関連する情報が多く容易に入手できる点が強みです。さらに、取引のボリュームが大きく、価格の動きも比較的安定しているため、突然の大きな価格の変動のリスクも低くなります。始めは米ドル/円でトレードをスタートし、次第にFXの感覚を掴んでから、他の通貨ペアへと挑戦するのが良いでしょう。

FXでよくあるミス⑨:明確な取引時間を設定していない

FXは取引のタイミングに関して柔軟性があり、概ね平日は24時間にわたって取引することができます。しかしながら、いつでも好きな時にトレードを行うと、最大の利益を得るのが難しくなることも考えられます。外国為替の相場は時間帯によって価格の動きの規模が異なります。価格の動きは取引成果に直接影響するため、取引のタイミングに注意を払うことが必要です。

アドバイス:活気ある時間帯での取引を優先する

短期間のFX取引で効果的に利益を追求するには、市場が活発に動く時間帯での取引が求められます。日中には相場が活発に動く時間帯が複数存在しますが、日本時間の21時以降(冬の場合は22時以降)はニューヨークとロンドンの市場が交差する時間となり、取引が特に盛んになります。このような活動的な時間帯を重視して、戦略的にトレードを進めることをおすすめします。

FXでよくあるミス⑩:生活費を超える資金で取引している

FX取引を行う際、生活に必要な資金を使ってしまうと、トレードに失敗したときのリスクが高まります。このような重要な資金でトレードすると、感情が介入しやすくなるのが一因です。

FXでは、感情を持ち込まず、ルールを守り、冷静に取引を進めることが求められます。しかし、日常生活に必要な資金でトレードすると、資金を失う恐れから正しい判断が難しくなり、本来のタイミングでの損切りができなくなる場合があります。

アドバイス:FX取引は使っても問題ない資金で実施する

トレードの失敗を最小限にするためには、FXには生活に支障をきたさない資金、つまり使っても困らない資金で臨むべきです。

FXの特徴として、所持している資金を超える取引が可能な点が挙げられますが、それは元手が保証されているわけではないため、リスクも伴います。そのため、生活基盤を脅かすような資金での取引は、高リスクであり推奨されません。日常の必要経費や緊急時の資金を確保した上で、余裕のある資金をトレードに使用することを心掛けましょう。

FXでよくあるミス⑪:他者の情報に盲信して取引

自分の直感や運だけに頼るトレードはリスクが高い一方で、他者からの情報だけを基にトレードするのもリスキーです。特に、ウェブ上ではFXに関する情報が山のように存在しており、その中には信憑性が低い情報も混ざっています。「絶対に儲かる方法」や「今が買い時」といった誘導的な情報に引き寄せられ、大きな損害を受けるケースも少なくありません。

アドバイス:FXでの確実な勝ち策は存在しない

たとえトップクラスのトレーダーであっても、常に利益を保証するわけではありません。FXにおいて絶対的な勝ち策はないという認識が必要です。この理解をもとに、しっかりとした取引のルールや市場の分析技術を習得することで、信頼できる根拠を持って取引を進めるべきです。

FXのトラブルを引き起こすトレーダーの共通点

FXの取引において、多くのトレーダーが犯すミスの背景には「すぐに大きな利益を得たい」という思考が見受けられます。

「頻繁に取引を行う」「様々な通貨ペアで取引を試みる」などのトラブルの原因となる行動は、短期間での高い収益を目指す心理から生まれています。高い利益を追求する余り、高レバレッジを活用したり、本来の余剰資金を超える資金で取引するなどのリスクの高い戦略に手を出すこともあるでしょう。また、「タイミングを逃して損切りしない」という問題も、収益への強い執着が原因として挙げられます。

FX取引では、短期的な利益追求や確実な利益への固執は逆に大きなリスクとなり得ます。本文で触れたFXのトラブルの典型とそれに対するアドバイスを頭に入れ、失敗の兆しを早期に察知して対処するよう心がけましょう。

FXの実際の失敗体験

以下は、FX取引での失敗を体験したトレーダーたちからの生の声を紹介します。

失敗体験①:過度なレバレッジでの取引に手を焼いた

「100ロット、1,000ロットとポジションを増やしていきました。大きな損失を出すリスクを感じると、集中力を失い、画面から目を離せなくなりました。その期間中、何回か強制的に損切りをされ、短い間に300万円の損失を経験しました。それから、安全に取引できるロット数にポジションを減少させることにしました」

M氏:40代、FX経験3年

失敗体験②:直感だけでの取引が裏目に出た

「小さな動きでもしっかりと収益を出そうと、レンジ取引に絞り込んで行っていました。連日40万~50万円の利益が続き、驚きました。しかし、次の週にはその利益が一気に消えてしまいました。その原因は、まだFXの知識が浅かったことと、直感だけで取引をしていたことでした」

Y氏:70代、FX経験3年

失敗体験③:慣れない通貨ペアでの取引を試みた結果

「大きな損失を出す時、何か違和感を感じる取引をしていることが多いです。欲からポジションを増やしたり、リサーチせずに未経験の通貨ペアで取引を始めたりしたとき、大抵失敗します。その反省を活かし、今後の取引戦略を考え直しています」

M氏:30代、FX経験5年

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