FX取引において為替差益だけでなく、スワップポイントも利益の源泉として考慮されることが多いです。特に、金利が高い新興国の通貨は、そのスワップポイントの高さから多くの投資家の関心を引きつけています。ここでは、スワップポイントの性質や、その利点や懸念点について解説します。
FXのスワップポイントについて解説
外貨預金としての利息を思い浮かべる人も多いですが、スワップポイントはFX固有の利益システムであり、その成り立ちは異なります。以下、詳しく見ていきましょう。
・FXとスワップポイントの関係
例えば、超低金利の日本円を売り、新興国の高金利通貨、例えばトルコリラやメキシコペソを買う場合、保有している間毎日スワップポイントという利益が得られます。このスワップポイントは金利差調整分としても知られ、2国間の金利差に起因します。但し、高金利の通貨を売る場合は、逆にスワップポイントを支払わなければならないことも。
具体的には、0.1%の日本の政策金利と対照的に、メキシコの政策金利は11.25%です。この金利差により、FXで日本円を売ってメキシコペソを買うと、スワップポイントが毎日得られます。但し、具体的なスワップポイントはFX会社ごとに異なり、例えば「みんなのFX」であれば、メキシコペソ/円の10万通貨あたり261円が得られるようです。
利用するレバレッジによって、必要な証拠金は変わるが、スワップポイントをより効果的に取得する方法も存在します。
多くは、デイトレードのような短期間の取引を想像するかもしれませんが、中長期の投資を目的としたスワップポイント狙いのトレーダーも少なくありません。
・スワップポイントの特長
スワップポイントの魅力は、持ち続ける限り毎日利益が発生すること。株式のように売却時のみ利益を得るわけではなく、定期的な利益取得が可能です。また、スワップポイントの付与は、翌日にポジションを持ち越す場合のみとなります。
具体的なスワップポイントは日々変動し、金利差だけでなく、為替レートの変動なども影響します。通貨ペアやFX会社によっても、スワップポイントは大きく異なることがあります。
スワップポイントの豊富な通貨ペアを探る
新興国の中で特に高い政策金利を有する国として、南アフリカ、メキシコ、トルコが挙げられます。具体的には、南アフリカは8.25％、メキシコが11.25％、そしてトルコが17.5％となっています。
この金利背景を反映して、「みんなのFX」では、南アフリカランド/円の買スワップポイントは10万通貨ごとに181円、メキシコペソ/円では261円、トルコリラ/円では170円となっています。
多くの主要銀行では、定期預金の利率は0.01％ほどしかなく、10万円を1年間預けた場合の利子はわずか10円です。これを高金利通貨のスワップポイントと比べると、スワップポイントの魅力は明らかです。
スワップポイントに関する考慮事項
スワップポイントは魅力的に思えるものの、様々な注意点が存在します。これらを正しく理解せずに取引を行うと、予想外の損失を経験するリスクがあります。
・マイナスのスワップポイントも覚悟するべし
高金利通貨を売り、低金利通貨を買う際には、スワップポイントがマイナスとなることもあります。この場合、投資家は金利差分のスワップポイントを支払う側となります。特定の新興国通貨ペア、例えば南アフリカランド/円やメキシコペソ/円、トルコリラ/円の売りポジションを取る場合、高いスワップポイントの支払いが生じる可能性があります。このような場合、短期での取引が安全と言えるかもしれません。
さらに、一見高金利である通貨でも、国の経済状況や金融政策の変動により、金利差が狭まるリスクが存在します。また、高金利通貨は為替の変動が大きいことも多く、その変動に十分注意が必要です。
レバレッジを高く設定している場合、為替の変動による損失が証拠金を超え、ロスカットが起こる可能性が高まります。その結果、得られたスワップポイント以上の損失が生じるリスクがあるのです。
・スワップポイントも税金の対象
多くの収益は税金の対象となるのが一般的で、スワップポイントも例外ではありません。スワップポイントには20.315％（所得税15%＋住民税5%＋復興特別所得税0.315%）の税率が適用されます。
ただし、FXのスワップポイントの税金の取り扱いは、取引を行っている口座が法人か個人かによって異なります。法人の場合、スワップポイントの付与時に課税対象となります。一方、個人の場合は受け取るタイミングで課税されます。特定のFXサービスでは、スワップポイントを再投資に回すことで、税金の支払いを先送りすることが可能です。この方法を用いれば、複利の効果を最大限に活用することが期待できます。税金に関する詳細については、税務署や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
スワップポイントの効果的な活用法
FX取引において、スワップポイントを中心に運用する際の重要なポイントを以下に紹介します。以下の3つのアドバイスに注目して、スワップポイントの利益を最大化するための手法を確立しましょう。
コスト低減のためにスプレッドの狭い通貨ペアを優先
たとえ高いスワップポイントが期待される場合でも、スプレッドが広いと取引のコストが増大します。スプレッドの影響で為替の損失が生じ、スワップポイントのメリットが相殺される可能性があります。
取引を開始する前の段階で、売値と買値の間のスプレッドをチェックすることが重要です。スプレッドが小さく、良好なスワップポイントが見込める通貨ペアを選定するのが最適です。
リスクヘッジのために通貨ペアを複数選択
高いスワップポイントが得られたとしても、大きな為替損失が出ると、その利益は消えてしまいます。このようなリスクを減少させるため、異なる通貨に投資を分散することを検討すると良いでしょう。
政策金利の変動によりスワップポイントが下がるリスクも考慮する必要があります。分散投資のアプローチにより、一部の通貨ペアでの損失が他のペアの利益で補われる可能性が高まります。
証拠金の管理は欠かせない
損失が生じると、必要証拠金を下回るリスクが出てきます。これにより、ロスカットが適用され、大きな損失が発生する可能性があるため、常時、口座の状況と証拠金を確認して管理することが必要です。
歴史的な為替市場の動きを見ると、証拠金維持率は最低250％以上、なるべく300%以上を目指すのが推奨されています。スワップポイントを中心とした投資戦略を採用する際は、高い証拠金維持率を維持することを意識しましょう。
スワップポイントを目指す際の堅実な戦略の重要性
為替取引での高い利益を狙う取引は、狩りのような瞬時のチャンスを追い求める活動に似ていますが、スワップポイントを重視した運用は、持続的な収益を目指す農作業に例えられるでしょう。しかし、これにも先に挙げたリスクが伴います。そのため、安定した収益を確保するためには、リスクを回避する策や証拠金の適切な管理が不可欠です。
